ニュース 2021/04/21 11:29:04

漫画村逮捕事件とは?容疑者や違法性を徹底解説

漫画村は、無料でマンガの数々を楽しめるという謳い文句で、短期間の間に多くの視聴者を集めました。

しかし、使っていた方は通常見ることができない有料の作品を見られたことで、後ろめたい気持ちもあったことでしょう。

 

作品を無断でアップロードしていたことから容疑者は逮捕にいたり、2021年には懲役4年6ヶ月の求刑へ。

悪質な事件の発生から国内を大きく揺るがす事態になり、2020年から法改正にまで発展しました。

本記事では、漫画村で逮捕された容疑者の素性・改正された著作権法、ひいては浮き彫りになっている問題点などを中心に解説をしていきます。

漫画村逮捕事件とは? 

漫画村逮捕事件の発端は、2017年に複数の出版社が県警へ被害の報告・相談を持ちかけたことから始まります。

海外サーバーを巧みに操り、罰則を免れようとした被告は2019年に逮捕にいたりました。

逮捕されるまでに2年の期間を要しましたが、拘束されたのは日本ではなくフィリピンです。

 

悪質性が高かったことから今まで重視されていなかった罰則が、法改正にともない厳格化。

また、セキュリティ問題など懸念する点も数多く見られました。

被告が逮捕されたことにより、サービスを提供する側、見る側も留意しておかなければならない著作権法や、閲覧におけるモラルの再認識など、自由化が進む中で厳しくなるルールも注視しておく必要があります。

漫画村の違法性  


漫画村は、海外サーバーを経由して簡単に違法アップロードされた作品を見られることから、大きな話題を呼びました。

しかし、同時に漫画家をはじめとしてさまざまな協会や政府まで動く形になった史上に残る事件になったのも有名です。

 

漫画村の違法性は著作物を作る漫画家・クリエイターのほか、視聴者も見ておくべき事例が複数あります。

そのほか、普段は閲覧を楽しんでいるだけの人も留意するべき点も顕著になってきていますが、以下より特徴を見ていきましょう。

改正著作権法違反


漫画村の逮捕事件以降、新たに施行された改正著作権法違反は厳格な基準が設けられました。

以前との明確な相違点は、ダウンロードをする側にも罰則規定が生じるという点です。

 

大きく2種類に分類され、まずは2020年の10月1日より施行されたのはリーチサイト対策。

著作権侵害の違法作品を直接アップロードするのではなく、違法サイトへのリンク・移動をうながすまとめ情報を貼ったものに対する規制です。

 

次に、2021年1月1日に施行の改正著作権法違反は、侵害コンテンツのダウンロードを違法化するもの、加えて該当するサイトへアクセスすることへの制限強化です。

 

線引きとして、作品が数10ページもしくは数百ページにおよぶ漫画で1ページだけをダウンロードするものは規制の対象外となる可能性があります。

ただし、作品の半分を占めるものをダウンロードすると摘発につながるリスクにつながりかねません。

海外サーバーでも関係ない


漫画村の逮捕事件ですが、容疑者がサーバーは海外にあるため問題はないと豪語していました。

被告は、スウェーデンにあるプロバイダを通してウクライナのサーバーへコンテンツを設置。

 

また、秘匿サービスの1つの防弾ホスティングを悪用し、日本在住者に閲覧可能な状態にしていました。

しかし、日本のみならず包囲網は厳格に敷かれており、回避する術はありません。

 

米国でサーバー提供会社からの容疑者特定に係る情報の提供、加えてフィリピンで拘束されたこともあり、各国が違法を摘発している姿勢も関係しているでしょう。

加えて日本の対応としては、衆議院予算委員会で取り沙汰されたこと、ほかにも漫画家が集う交流団体のマンガジャパンの有志が漫画村へ声を挙げたのも摘発へとつながったと考えられます。

今後は利用者が罰せられる可能性も  


漫画村事件の余波は、視聴・閲覧側にとって今までで類を見ないほど厳しい基準になりました。

これまでは、違法にアップロードをする側が罰則を受けていましたが、今後はそうではありません。

著作権法改正、新法第119条第3項第2号等によると、市販の有料漫画コンテンツであることを知りながら保存すると危険です。

 

詳細には、違法とわかっていながら繰り返しダウンロードしてしまうと、悪質だと見なされてしまいます。

もし該当したなら、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその併科)という刑事罰を受けるため見落としはできません

侵害コンテンツのダウンロードが刑事罰化されたことは、通常のインターネットサイトをはじめ、SNSなどで画像を使うことにもより一層の配慮が必要になると考えて良いでしょう。

漫画村で逮捕された『星野路実』被告  


漫画村の運営で逮捕となった被告の名前は『星野路実』です。

被告に下されたのは、著作権法違反および組織犯罪処罰法違反です。

公益社団法人著作権情報センターによると、著作権違反の罰則は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処せられます。

 

一方、後者の組織犯罪処罰法違反は、漫画村に関与する罰則をはじめ種類が複数あります。

『星野路実』被告の事例だと、信用毀損および業務妨害が該当すると考えて良いでしょう。同刑罰は、単独・複数人により懲役年数が変化。

同被告の場合、複数人での犯行であったため、6年以下の懲役または50万円以下の罰則です。

 

軽微な罰則ではないことと、合わせて漫画村で認知されたことが特徴的ですね。

なお『星野路実』被告は起訴の内容に対して、犯罪の収益を隠蔽していないから実質は違うという供述をしていました。

さらに、違法アップロードは知っていたものの、中身については知らないというしらを切ったことも起因し、漫画家の尊厳を傷つけたことも問題視されています。

漫画村のその他の問題点 


漫画村で行われた違法アップロードは、加害者側が罰せられたことのほか閲覧側も注意を払わなければいけない多大な影響を与えました。

制限が厳しくなっていくことのほか、現状でも問題点は浮き彫りに。

 

したがって漫画村では、主にブロッキング問題・セキュリティー問題で利用している人も冷や汗をかいてしまうことが散見されました。

今までに無料の違法アップロードサイトを使っていた人は、これより列挙する2つの注意点を確認してみましょう。

ブロッキング問題


漫画村の問題から、日本政府は閲覧者とインターネット会社の双方にとって看過できないブロッキング制限を設けました。

ブロッキングとは、インターネットサービスプロバイダなどがインターネット等を通じて出入りする情報を監視し、アクセス先への接続を偽装・拒否・遮断する技術です。

しかし、ブロッキングは、不当な行為をしていないにも関わらず閲覧に規制をかけるため、憲法規定にある表現の自由という観点から適切ではないという声も散見されます。

 

ただし、あくまでもブロッキングで取り沙汰されたのは、漫画村・Miomio・Anitubeという違法サイトです。

今後、議論が想定されるのはブロッキングを反対する協会や、不当に作品の看板・名誉に傷をつけられた漫画家との主張のすり合わせでしょうか。

日々、如何にして漫画家の方たちが熱意と時間を捻出して作り上げた作品が、違法アップロードサイトで無断転載があるとなれば、名誉が傷つけられてしまうことは明白であり、早期段階でクリアされることが望ましいのはいうまでもありません。

セキュリティー問題

違法性があるリスクを考慮することなく、悪意がなくても違法と一般の方が見てもわかるサイトはグレーゾーンだといえます。

セキュリティー問題で危険な点として、漫画村のみならず違法サイトで広告が無数に貼られているのを見たことがありませんか。

 

例えば、いかがわしい広告をクリックしたあとに遷移するサイトだと、ウイルスに使用する機器が感染してしまうリスクがあります。

情報を盗み取るフィッシング・トロイの木馬など、漫画村事件の以前から危険性が指摘されていました。

そのほか、漫画村を見ている際に広告をクリックし、別の信頼性に欠くサイトへ飛ばされてしまい、個人情報を盗まれてしまうことだってあります。

また、クレジットカード・銀行口座の情報は流出してしまうとカード会社へ使用できないよう、最悪の場合依頼することにもつながるためセキュリティ問題は軽視できなかったのです。

まとめ:著作権違反容疑で漫画村運営は逮捕された


これまでに、漫画村運営者が逮捕された内容から事件の特徴を解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

日本国内のサーバーを使っていなくても、海外は摘発に協力的で回避する手立てがなかったことがわかりました。

加えて、日本政府も国会で審議し、著作権法の改正を急ピッチで進めたことなど、創造・制作者の意思を尊重して違反者には厳しい処置を与えています。

 

不当な利益を得ようとして、漫画村で逮捕された被告は求刑4年6ヶ月という違法アップロード者にとって脅威ともいえる判決が出ているからです。

一方、年々変わりゆく法改正はダウンロードする方にも罰則が設けられたため、実情を知っておくことが肝要といわざるを得ません。

 

また、後を絶たない違法サイトを安易に見てしまい、広告クリックによるパソコン・スマホなどのウイルス感染もセキュリティー問題上、軽視しないように注意しておきましょう。

需要を求める利用者と、提供する製作者も、漫画村の事件から学びとる点はたくさんあるため、双方が安心して楽しめるサービスの構築が、マンガ好きのニーズを満たすといえます。

smartentaで寄稿を行っています。 ネットセキュリティやネット問題を中心に執筆。 使用しているpcはwindowsですが、最近macに切り替えようか検討中。
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