記者会見のやり方は?失敗しない記者会見の手順を徹底解説
新商品やサービス、ブランドの発表など、世間に対して有益な新しい情報を発表したいときや、一方でなにか不祥事を起こしてしまったことに対して謝罪を表明するのが記者会見です。
実際に自分が開催する立場に回った場合、何から取り組めばいいのかわからないこともあるでしょう。
実際に記者発表会を開催するためには、様々な準備が必要になります。
しかし、なにが必要かを理解してしまえば、世間に注目してもらえるような記者会見を行い、または悪い情報も悪い噂が広がることを効果的に抑えることができるでしょう。
この記事では、記者会見を行う際に、何を準備しなくてはいけないのかや成功させるために気をつけなければいけないことについてご紹介していきます。
記者会見をやりたい時は記者に相談
記者会見を開くためには、記者に相談するのが効率的な方法です。
相談したい記者を探すときは、自分が運営している事業に関係のある記者を選びましょう。
市の事業者であれば、市役所の記者クラブを選ぶなどです。
地方ではなく、東京で事業を運営している場合は、教育関係なら文部科学省記者クラブを相談すると良いでしょう。
運営している事業内容に公益性があると認められれば、記者クラブで記者会見を開催することができ、会場費などを抑えることができます。
記者クラブは、公的な情報発信の機能を担う組織なので、相談する前に、プレスリリースの内容に社会性と公共性があるというポイントを強調しつつ、簡潔に説明できるようにしておくと良いでしょう。
記者会見の事前準備
記者会見をする際、最も重要なポイントは発表する情報です。
公益性のある情報をうまく伝えられなければ、いくら記者会見を行なったとしても、メディアは積極的に発信してくれません。
そ
こで、記者会見を始めるにあたって事前に準備するべき6項目をご紹介します。
記者会見当日に必要な会場、スケジュール、資料、備品、会見者や司会者の選定などを順序立てて行っていけば、効率良く会見に必要な項目を揃えられるほか、本番でもしっかりと受け答えられる準備をすることで、満足のいく結果を得られるでしょう。
会見内容や開催日程・場所の決定
まず、記者会見の内容と開催日程、開催場所を決定します。
記者会見の内容は大半が企業の経営に関する情報発信、あるいは製品やサービスに関する情報発信となるでしょう。
記者会見の内容を考えるときは、開催目的として「誰に、何を、どのように伝えるのか」を明示することが重要です。
記者会見は、準備時間に余裕を持って開催できる場合もあれば、商法と会社法などの法令遵守に関わる内容などの場合には短い準備時間で緊急開催しなければならない場合もあります。
そのような場合には、周囲を飛び交う情報を正確かつ迅速に収集・整理して柔軟な対応が求められます。
いずれの場合でも、記者会見の内容に応じて他部署と情報連携しながら、慎重に開催日程を決定しましょう。
決定するときに注意すべきポイントは、メディアが集まりやすい時期や曜日、時間帯を事前に調べておくことです。
会見のスケジュールと担当者を決定
開催日程が決定したら、そこから逆算して準備も含めた全体のスケジュールを組んでいきます。
しっかりと構成されたタイムスケジュールのもと、新商品やサービスの内容を的確に発信しなければならないからです。
メディア関係者はタイトなスケジュールの合間を縫って来ているので、当日の進行でもタイムスケジュールは必ず守るようにしましょう。
タイムスケジュールは記者会見の内容に関わる部分だけではなく、運営に関わる社員の入り時間から会場撤収時間までの細かな部分にも気を配る必要があります。
記者会見の開催にあたっては様々なタスクが発生することが予想されるので、タスクごとに最適な担当者を選ぶことも必要となってきます。
広報部門だけでの対応が難しい場合には、他の部署の協力を要請することも必要なうえ、プロジェクトチームを立ち上げたりする方法も考えられるでしょう。
会見者・司会者の手配
記者会見には、メディアに向けて説明を実施する「会見者」と全体の進行を担う「司会者」が必要です。
多くの場合、会見者を担当するのは企業や事業のポジチョンの高い責任者です。
謝罪会見であれば、組織のトップである社長を選定することが望ましいとされています。
メディアに対して正確な情報を伝達できること、メディアからの質問に間違いなく答えられること、記者会見の内容に適切である人などを選出基準としましょう。
また、可能なら2名以上を選出し、想定外の事態が起きた場合に備えた環境作りをすることも必要です。
司会者の手配は、フリーアナウンサーなどの司会を専業とするプロに依頼するのが一般的ですが、広報担当者が担当することもあります。
いずれの場合でも、台本を用意し、慎重に進行できれば問題ありません。
メディア誘致
記者クラブで記者会見を開催する場合には、メディア誘致は必要ありませんが、そうでない場合は欠かせません。
会見の開催目的(誰に、何を、どのように伝えるのか)に合わせて、情報を伝えるべきメディアを選定し、誘致しましょう。
誘致の際には、開催日時や場所、会見の主旨、出欠確認欄など必須情報を明記した案内状を用意する必要があります。
案内状を送る際には、必ず参加の有無を伺える返信用のページを設けてください。
送ってそのままになってしまわないようにすることもとても重要です。
メールやFAX、オフィスへ直接持ち込みするなど、案内状の届け方はメディアのことを考慮して選択しましょう。
また、会場の収容人数に合わせて、1社あたりの最大参加人数に制限をつける必要があります。
資料や備品の用意
続いて、資料と備品を準備していきましょう。資料には司会者に必要となる「台本」や会見者に重要な「想定問答集」の他に、「投影用プレゼンテーション」「メディア向け資料」などがあります。
特に「事実と異なること」が混入しないよう細心の注意が必要です。
そのために、プレゼンテーションやメディア向け資料に用いる説明やデータに誤りが無いよう、関係者に協力を依頼しながら何重にも確認を行なう必要があります。
また、想定問答集は可能な限り多くの質問を想定して作成しましょう。資料内容の確認には社内の関係者だけでなく、法律に明るい法務担当者や顧問弁護士などにも依頼すると更に安心です。
備品には、マイクや椅子、案内用のプラカードなど細々としたものが大半を占めます。本番当日の流れを詳細までイメージしながら、必要な物を洗い出しましょう。
必要な備品のチェックリストを作成しておくと、漏れや被りが出る問題に対応できますよ。
リハーサルの実施
資料が出来上がったら、リハーサルを実施しましょう。台本を用意していても、いざ本番となると予測していないトラブルは発生してしまうものです。
必ずリハーサルを実施して、資料・備品などに改善点や不足している情報などがないか確認しましょう。
そうすることで、質の高い会見に仕上げることが可能になります。
また、本番では緊張してしまい、うまく答えられないことが起きてしまうこともあります。リハーサルでは、本番になるべく近い状況を作り出して、緊張に慣れさせると良いでしょう。
可能なら、本番に参加する会見者と司会者を交えてリハーサルを実施できると、より精度が高くなります。さらに、リハーサル後にレビューすることもおすすめです。
謝罪会見では、失言などは大きな問題になってしまうので、答える質問をしっかり分けておくことで1人だけが質問攻めに合うことが減り、会見者の負担も減るでしょう。
記者会見の当日の流れ
記者会見当日には、会場の装飾や備品の設置をリハーサル通りに行っていきましょう。
考えられた会場のセッティングを行うことで、当日に焦ることがなくなり、記者会見でも冷静な姿勢で望めます。
記者会見が始まった際には、正確な情報を相手に伝わりやすい形で伝えるよう意識しましょう。
用意した資料を参考にしつつ落ち着いて受け答えしていけば、相手に好印象を与えられます。想定外の質問にも冷静に対応することが必要です。
会場のセッティング
会見当日を迎えたら、司会者や会見者の位置の確認、投影用機材の設置、メディア向けの案内板の設置など、会場のセッティングを行います。
トラック等が必要になる大きな備品については、あらかじめ業者との間で搬入時刻や場所を共有しておきましょう。
備品の準備やリハーサルで判明したセッティング要件に加え、当日足りないセッティングがあれば臨機応変に対応することが大切です。
特に、大勢集まることが多いメディア向けに経路を丁寧にセッティングしておくと混乱を防げます。
不足している備品などがあると代替を用意する時間ができてしまい、当日が慌ただしくなってしまうことも稀ではありません。必ず必要な備品の数など細かなところまでチェックしながら、バックアッププランを練ることもオススメします。
実際に記者会見を行う
いよいよ会見本番。1番大切なことは、事実に基づいた正確な情報を分かりやすく丁寧に伝えることです。
会見冒頭の概要説明には配布資料の内容をそのまま棒読みする無駄時間を減らし、記者会見の本番ともいえる質疑応答に入りましょう。
メディアが意図的に想定外の質問を投げかけてくる可能性もゼロではありません。
そんな時に焦って対応を誤ると、事実と異なる情報が世の中に拡散されたり、自社が不利益を被る結果になったりしかねません。
用意した台本や想定問答集に則って、あくまで冷静に対応しましょう。
ただ、手元の資料に目を落としすぎるのは、みっともない印象を与えてしまうため、注意が必要です。
誠実さを示すためにも記者の目を見て発言することを意識しましょう。
アフターフォローも忘れずに
会見が終了したら、メディアへのフォロー連絡やレポート作成、効果測定、自社サイト・SNSでの報告などのアフターフォローも欠かさず行いましょう。
特にメディア記者へのフォロー連絡は、メディアへの掲載の有無に関わらず重要です。
広報担当者は会見後の質問へ責任を持って解答することや、あるいはメディアに掲載された場合にはお礼や感想の連絡をするなど、やるべきことは多くあります。
そうすれば、結果的にリレーションの維持にも繋がるでしょう。
また、自社内での検証のために必要なレポート作成や効果測定においては、参加者数や会見後の反響など、定量的な指標とともに定性的な振り返りが大切です。
振り返りを行えば、次回以降の記者会見実施に向けたPDCAを回しやすくなります。
記者会見の注意点
記者会見の注意点は、シンプルです。「誠実に」「ウソをつかない」。
これらは絶対です。
それから、「大げさに言わない」「事実を正確に伝える」ことも心がけてください。
あやふやな情報がテレビや新聞で報じられてしまったら、取り返しがつかないことになります。
記者といっても、普通の人間です。好き好んで揚げ足を取ろうとは考えていません。
ただ、真実を知りたいだけなのです。彼らの職務を尊重し、誠実に事実に基づいて話をしていただきたい、と思います。
まとめ:記者会見のやり方は簡単
記者会見は、流れをしっかりと確認したうえで色んな部署や関係者と協力しながらセッティングをしていくことで、簡単に行うことができます。
記者会見の内容をいかに正確で効率的に世間に伝えるかという要点を押さえて、記者会見を効果的なものにしましょう。
会見で発表する情報が良いものでも悪いものであっても、記者会見を通じて自身が運営している事業の姿勢や考え方を迅速かつ広く世間に使えることが大切です。
そうすることで、メディアの報道の影響で、問い合わせが増えたり、PV数が伸びたりと大きな反響を得られる可能性もあります。
記者会見を成功させるために、念入りに事前準備を行い、メディアが伝えたくなるような情報を提供できる場にしましょう。