ネット問題 2021/04/10 20:15:15

LINEを晒すとどうなる?違法性や対処法を解説

あなたはLINEを使っていますか?

おそらくほとんどの方が「はい」と答えるでしょう。

スマホの普及に伴い、使用者が急増したメッセージアプリ『LINE』。

個人同士のプライベートなやり取りを、チャット感覚で気軽に行えることが魅力です。

 

ところが近年、『LINE晒し』と呼ばれる、画面をスクリーンショットしたものをSNSなどで拡散する行為が広まっています。

深く考えずにおもしろ半分で投稿してしまうと、意図していなかった事態に発展することも。

この記事では、LINEを晒すことの違法性や、LINEを晒されてしまった際の対処法について解説していきます。

許可なくLINEを晒すと罪に問われることも

LINEの内容をTwitterなどのSNSで、双方の合意なく拡散する行為は日本国憲法や民法、刑法において違法行為とみなされます。

例え相手をおとしめるつもりがなく、軽い気持ちだったとしても、本来プライベートなやり取りであるはずのLINEを晒す行為は、決してやってはいけません。

 

最悪の場合、晒した相手側から「プライバシー侵害」や「名誉棄損」といった訴訟を起こされる可能性があり、裁判により有罪判決を受けた場合、懲役もしくは禁固、罰金刑といった重い刑罰を課せられます。

プライバシー侵害や名誉棄損はどういった場合に適用されるのか、詳しく見ていきましょう。

プライバシー侵害

プライバシー侵害は、

①私生活上の
②未だ他人に知られていない事実で
③通常公開されたくないもの
④公開されることで不快に思うであろうもの

を本人の同意を得ずに公表した場合に成立します。

 

プライバシーの侵害が成立すると、不法行為(日本国憲法13条および、民法709条)として、民事上の損害賠償(慰謝料)請求や差し止めの対象となる可能性があります。

LINEでのやり取りは、こうした私生活上の当人同士でしか共有されておらず、公開してしまうと支障をきたすような、プライベートな情報が多く含まれています。

氏名や住所、連絡先、勤務先といった個人情報を取り扱う際は、例え公開先が限定的であっても、違法行為とみなされる場合があります。

名誉棄損

次に、名誉棄損の罪に問われるケースです。

名誉棄損とは法的には「真実であろうが虚偽であろうが、当人の社会的評価を下げるような事実を不特定多数の人に公表」すれば成立するとされています。

多くの場合、誹謗中傷や事実ではないことを公表することが名誉棄損として取り上げられますが、事実である場合であっても当人の許可なく公表することは名誉棄損です。

 

名誉棄損は刑法(第230条第1項)により違法行為と認められた場合、三年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金が課せられます。

多くの人が閲覧可能なSNSなどにLINEを晒す行為は、不特定多数の人に、当人の信用や評価を下げる行為とみなされますので、絶対に行ってはいけないのです。

どうすれば良い?ツイッターなどのSNSにlineを晒されたときの対処法

一方で自分自身がLINEでのやり取りを晒された場合は、拡散を防ぐためにもすぐに対応をしなければいけません。

例え事実でない場合も、いち早く対応をしなければ、結果的にプライバシー侵害や名誉棄損と言った損害を被ってしまいます。

では、一体どのような対応方法があるのでしょうか?

 

特に有効な方法として、

①晒した本人に削除をお願いする
②運営に削除をお願いする
③裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる
④悪質な場合は訴訟も視野に入れる

の4つがあります。

晒した本人に削除をお願いする

まず一番にやるべきことは、LINEを晒した本人に削除を直接依頼することです。

自分とのやり取りのLINEですので、晒した本人が知人や友人である可能性が高いです。

本人と連絡が取れる状態であれば、投稿の削除を依頼しましょう。

すぐに依頼に応じてもらえるのであれば、それが最も円満かつ素早い解決方法です。

 

晒した本人に悪意がなく、単純に目立ちたかったからという承認欲求を満たすためだけにLINEを晒してしまったケースが後を絶ちません。

同様のことを繰り返す可能性がありますので「LINEを晒す行為がプライバシー侵害や名誉棄損に当たり、応じない場合は罰せられる場合がある」ということを説明し、事の重大さを認識してもらいましょう。

運営に削除を要請する

晒した本人と連絡が取れない、または削除要請に応じてもらえない場合は、SNS自体の運営者に削除を要請しましょう。

Twitterを始めとしたSNSでは個人情報の取り扱いに対して明確なルールとポリシーが設けられおり、近年晒し行為が頻発していることから対応が一層強化されています。

 

住所や連絡先といった個人情報を含んでいる内容はもちろんのこと、晒されたLINEに含まれる侮辱的な内容、特定の人物への嫌がらせやLINEを晒すことに対する脅迫もポリシー違反となります。

報告を行ってから実際に投稿が削除されるまでに日数がかかってしまうケースもありますが、明確にポリシーに違反している場合は対応してもらえますので、必ず報告しましょう。

裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる

晒した本人やサイト運営者との連絡が取れない、または削除要請に応じてもらえない場合は、裁判所に投稿削除の仮処分命令を出してもらう必要があります。

仮処分とは簡単に言うと「正式な裁判の前に一旦、訴えを元に要請に応じる」というものです。

 

仮処分を申し立てる場合には弁護士を通して、仮処分命令申立書を作成し、裁判所に提出する必要があります。

仮処分命令が出れば、さすがに晒した本人やSNS運営者も裁判所の命令を無視するわけにもいかないので、ほとんどの場合が削除要請に応じてもらえるでしょう。

ただし、仮処分命令が出るとしても、通常1か月から3か月ほどの期間を要し、なおかつ裁判に関する費用や弁護士費用が数十万円かかります。

悪質な場合は訴訟も視野に入れる

弁護士に依頼をしないといけないような悪質なケースは、民事訴訟を起こし、損害賠償を請求することを視野に入れましょう。

賠償請求額にもよりますが、弁護士費用はLINEを晒した敗訴側が支払う損害賠償から支払いが出来ます。

しかし、晒されたLINEがプライバシー侵害や名誉棄損に当たらないと判断された場合は当然ながら訴訟は認められず、棄却されてしまいます。

 

その際は手出しが大きくなってしまう事もありますので、弁護士や裁判所に相談の上、慎重に判断しましょう。

また、信用や社会的地位を侵害された場合は、裁判所に対して名誉を回復する措置を請求出来ます。

名誉回復措置の請求は損害賠償請求と合わせて行えますので、民事訴訟を行う場合は合わせて請求を行うと良いでしょう。

芸人がLINE晒しで問題になったことも

最近ではお笑い芸人のキングコング西野亮廣が吉本興業のマネージャーとのLINEでのやり取りを、怒りに任せてTwitterで晒したことが話題になりました。

西野氏に対して肯定的な意見がある一方で、マネージャーの実名を晒してしまった事や、いち会社員である吉本興業のマネージャーに深夜帯に叱責するという、常識外れとも捉えられかねない西野氏の行動に多くの否定的な意見が多く集まりました。

 

気持ちはわからなくもないですが、やはりこのような内輪のことを全世界の人が見られるSNSで晒してしまう事は倫理的に問題がある行為です。

吉本興業から訴えを起こされていないのは西野氏と吉本興業の関係性が良好であるから、ではありますが、訴訟に発展してもおかしくないくらいの内容です。

まとめ:LINE晒しは違法!公表したい場合は許可を取ろう

LINEを晒してしまった場合の違法性や対処法を解説しました。

最後にポイントをまとめます。

・LINEを許可なく晒すとプライバシー侵害や名誉棄損で訴えられる場合がある。
・LINEを晒されてしまった場合は速やかに本人や運営者に削除の依頼を行う。
・対応してもらえない場合は裁判所に仮処分申し立てを依頼する。
・民事訴訟で損害賠償を請求出来る。

LINEを晒すことによって大なり小なり、晒した側、晒された側の双方に大きな影響が出ます。

LINEの内容を公表したい場合はお互いに許可を取った合意の上で、行うようにしましょう。